まえぞうのショートショートへようこそ。全部読み切りで、短い時間で読める小説です。ラジオドラマにも採用されています。少しの間、楽しんでいって下さい。

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2005年03月15日

スーパー古本仕入れ装置

 私は、平成のエジソンと言われる天才発明家だ。あまりに天才すぎて、人は私の才能を認めようとしないが…。
 私の発明は、時代を先取りしすぎており、なかなか金にはならない。だが、中には金になる発明もあり、私はそれで生計をたてている。
 一番金になるのは、古本仕入れ装置だ。この装置を使えば価値ある古本を、安く仕入れることができる。この装置で仕入れた古本を売って儲けるのだ。
 私は、以前古本屋に行ったとき、あることに気が付いた。同じ古本でも、新しいものの方が高いのだ。五年前に出版された本より、一年前に出版されたものの方が高い。そこで、気が付いたのだ。五年後に行くことができれば儲けることができることに。
 分からないかもしれないので説明しよう。出版されて一年未満の本は高く売れる。その高く売れる本も五年後には安く買うことができる。ということは、五年後に行って安くなった本を買い、持って帰って高く売れば儲かるのだ。それで、私は五年後に行ける装置の研究を始めた。研究を始めてから三ヶ月で装置が完成した。私はこれを古本仕入れ装置と名づけた。
 本当この装置には世話になっている。大儲けはできないが、食うには困らない。まあ、その内もっと儲かる発明をしてやるつもりだが…。


あとがき
posted by まえぞう at 18:08| Comment(0) | TrackBack(2) | スーパー発明家シリーズ

2005年02月17日

スーパーゴミ箱

 私は、平成のエジソンと言われる天才発明家だ。あまりに天才すぎて、人は私の才能を認めようとしないが…。
 最近、寒くなったんで鍋が食べたくなった。しかし、金が無い。こんなときは、あの男に奢らせるに限る。私の失敗発明に金を出す奇特な男に…。早速、連絡しよう。

 さて、何を売りつけるか? そうだ、ゴミ箱なんかどうだろう。
 確か、環境問題かなんかでゴミの分別がうるさくなったときの発明だ。このゴミ箱は、分別の必要がない。ゴミを投げ入れるだけでいいのだ。臭いもしないし、ゴミを回収に出す必要もない。ここまでは予定通りだったが、大きな誤算があったのだ。このゴミ箱、大きすぎるのだ。畳二畳分もあるゴミ箱なんて、どこの部屋に置くのだ。結局、使い道がないということで捨ててしまった発明、こいつを売りつけてやろう。

 えっ? 小さくできないのかって。それは無理だ。私が構築した超量子重力理論で、これより小さくすると時空が不安定になることが分かっている。どうしても畳二畳分はいるのだ。まあ、無理やり時空を捻じ曲げて、ブラックホールを作っているのだから仕方ない。


 あの男も、バカなやつだ。鍋は鍋でもアンコウ鍋を奢ってくれるなんて。こんな使い道のない発明のために…。




あとがき
posted by まえぞう at 19:00| Comment(2) | TrackBack(0) | スーパー発明家シリーズ

2005年01月25日

スーパー目覚まし時計

 私は、平成のエジソンと言われる天才発明家だ。あまりに天才すぎて、人は私の才能を認めようとしないが…。
 最近、私が研究していた発明が、目覚まし時計だ。もちろん、ただの目覚まし時計ではない。誰もが絶対に目覚めるスーパー目覚まし時計だ。私は、以前、目覚ましの音で起きることができず、大事な約束に遅刻したことがある。そのとき心に決めた。誰でも、100%間違いなく、目が覚める目覚まし時計を、作ってやると。
 普通の目覚まし時計のように、音で起こす方法では駄目だ。私が最初に考えたのは、ベットに電流を流して起こすタイプだ。その次に考えたのが、強烈な光で起こすタイプ。だが、これは二つともボツにした。誰でも100%間違いなく目覚めるという確証がないからだ。私が作るものは完璧でないといけない。万が一でも、目が覚めない可能性があってはならないのだ。
 私は、人を100%目覚めさせることができる方法を考え続けた。そんなとき、偶然、テレビのコントで、こんなシーンを観た。寝ている人の頭に、バケツで水をかけるシーンだ。私は、これだ!と思った。顔に水をかければ、人は100%目覚める。コントを観ても発明のアイデアに結びつける、これが私の天才たるゆえんだ。

 そこで私は、この原理を応用した目覚まし時計の開発を進めた。まずは、バケツをひっくり返す方法だ。単にバケツを傾けるだけでは、思ったところに、確実に水をかけることはできない。ねらったところ以外に水しぶきが発生する。無駄な水しぶきが、わずかでも発生してはならない。そのためには、バランスをとりながらバケツを傾ける必要がある。従来のロボット工学の技術では、どうしてもピコリットルオーダーのわずかな水しぶきが発生する。そこで、全く新しい制御理論を構築した。これにより狙ったところに、極微量の水しぶきによるロスもなく、バケツで水をかけることができるようになったのだ。

 ふつうの人であれば、ここで開発終了と思うところだが、私は違った。並の人では気づかない、大きな問題に気がついたのだ。寝ている人の、顔の位置がいつも同じ場所ではない、ということだ。バケツで水をかける目標点を設定するために、どこに顔があるのかを検出しなければならない。そこで、人の顔の位置を認識する方法の開発を始めた。人がいつも仰向けに寝ていてくれれば、パターン認識で、どこが顔か判別できる。ただ、人は横をむいたり、うつ伏せになったりして寝ていることがあるのだ。ふとんをかぶっていることさえある。どんな場合でも、100%確実に”ここが顔だ”と識別できなければならない。そのため、私は全く新しい演算アルゴリズムを開発した。これで、顔の位置は、100%正確に識別できるようになった。

 私は、この方法で目覚まし時計を作成し、テストを行った。そのとき、思わぬ問題にぶつかった。ふとんが水で濡れるのだ。これは盲点だった。そこで、私は濡れたふとんを乾かす方法について検討した。普通のふとん乾燥機ではない。水でずぶぬれになったふとんを、短時間で完全に乾かさなければいけない。もちろん、熱風で乾かすなんて、原始的な方法は使えない。そこで、私は超臨界プラズマ乾燥法という全く新しい乾燥方法を編み出した。この方法を使えば、水でずぶぬれのふとんを、0.1秒で乾燥させることができる。もちろん、ふとんには何のダメージもなく、部屋の温度が上がることもない。
 これで、私のスーパー目覚まし時計は完成した。そして、このスーパー目覚まし時計を売り込みにいった。しかし、世間の反応は冷たかった。使いものにならないというのだ。まあ、私はあきらめは早い方だ。スーパー目覚まし時計のことはきっぱりあきらめ、他の発明に関心を移した。


 それにしても、世の中には、物好きな人間がいるものだ。スーパー目覚まし時計の研究資料一式を買いたいだなんて。どうせ、この目覚ましは世に出ることはないのだ。研究資料といっても、バケツ制御理論や顔の位置演算アルゴリズム、超臨界プラズマ乾燥法なんかのことしか書いてない。目覚ましがものにならなければ、何の価値もない。まあ、こんなもん、ただでくれてやってもいいんだが、それじゃあ相手の気が済まない。一応、夕飯をおごることを条件に、資料はくれてやったが…。
posted by まえぞう at 21:43| Comment(2) | TrackBack(0) | スーパー発明家シリーズ