2008年03月01日

ガラスの靴

「お嬢さん、私と踊って頂けますか?」

「ええ、よろこんで」

 こんな舞踏会に来られたのも、みんな魔法使いのお婆さんのおかげ。でも魔法は十二時には解けてしまう。それまでに帰らなくてはいけない。
 そう思って、時計を見ると十二時直前。

「すいません、もう帰らなければならないのです」

 そう言って男性の手をふりほどき、出口に向かって走り出す。階段にさしかかったとき、十二時の鐘が鳴った。
 靴が片方脱げてしまった。でもそんなこと関係ない。私なんかがこんな舞踏会に来ていたことが知られたら大変なことになる。そう思って必死に走り、何とかカボチャの馬車に乗って、帰ることができた。

 自分の部屋で、舞踏会を思い出す。

『ああいう舞踏会に一度出てみたかったの。安物で着心地の悪いドレス、狭くて乗り心地の悪い馬車。あれはあれで中々楽しいもの。庶民の舞踏会というやつも、たまにはいいものだわ。また、魔法使いに金を積んで、忍び込んでみよう』

 その時、侍女の声が聞こえた。

「お姫様、一体どこに行ってらっしゃったのですか?」


あとがき
posted by まえぞう at 09:20| Comment(7) | TrackBack(0) | その他のショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月20日

ドッペルゲンガー

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[ドッペルゲンガー]
自分とそっくりな人間。ドッペルゲンガーを見た者は、数日のうちに死ぬと言われている。

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「くそー、何でこんな事になったんだ! せっかく面白い番組が撮影できたのに、放送ができなくなってしまった」

 彼は、有名なテレビ番組のプロデューサー。彼が作った番組の出演者が次々に亡くなるという信じられない不幸に見舞われたのだ。楽しい番組にこんな悲劇が起こったのだ。放送などできる筈もない。彼は決意した。

「このままでは終わらない! 絶対に次回作を作ってやる!『そっくりさん大集合パート2』を」




あとがき
posted by まえぞう at 11:50| Comment(5) | TrackBack(0) | その他のショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする