天使の一団が地球を離れようとしていた。
「この星の人間たちは、本当に酷かったな」
「ああ、神の意思を完全に無視して、やりたい放題だ」
「何とか、この愚かな人間たちを導いてやろうとしたけど、無理だった」
「今まで、色んな知的生命体をみてきたが、ここまで残酷な奴らはいなかった」
「新しく知的人類が誕生したという星に早く移ろう」
「そうだ! こんな星放っておいて、新しい人類を導こう」
天使の中のひとりだけが、浮かない顔をしていた。まわりの天使に理由を聞かれ、戸惑いながらポツリと言った。
「そんなに酷い人間かな? 僕にはそんなに残酷には思えないんだけど……」
「何言ってるんだ。他の生物を次々殺し、同じ人間同士でも殺しあう。そんな奴らだぞ」
「でも……それは仕方なくやっただけで、本質はいい人たちだと思うんだけど」
「じゃあ、君だけここに残るか?」
「どうしよう……。そうだ、僕はもう一度この星の人間を観察してくる。そして、思ったよりいい人たちなら、ここに残る。本当に残酷な人たちならみんなと一緒に次の星に行く」
「お前、本当に物好きだな」
「じゃあ、僕はもう一度地球を見てくるから、みんなは先に行ってて」
「わかったよ。早くしろよ」
『次のニュースです。先日捕獲された人間に似た羽の生えた動物ですが、解剖の結果、地球上の他の生命体とは構造が大きく異なっていることが判明しました。専門家の間では、早くも白熱した議論が……』
あとがき
まえぞうのショートショートへようこそ。全部読み切りで、短い時間で読める小説です。ラジオドラマにも採用されています。少しの間、楽しんでいって下さい。
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2008年03月29日
2008年03月20日
ボケとツッコミ
「最近、はしかが流行しているそうですね」
「そうそう、水族館で芸をしたり、アゥ、アゥって鳴いたり」
「それは『あしか』だろう!」
「どうもありがとうございました」
俺とタカシは、学校でよく漫才をしている。僕がボケでタカシがツッコミだ。
そのタカシが、コンビを解消しようと言い出した。
「何故なんだ? 一緒に漫才師になろうって言っただろう?」
「お前のボケは軽すぎるんだよ。俺がツッコミで何とかカバーしているが、これじゃあ素人のレベルから抜け出せない」
「これから頑張ればいいじゃないか。もう少しレベルの高いボケができるようになるから」
「無理だよ。お前は軽すぎるんだ。まあ、一回体を張るくらいの気持ちで大きなボケをかませば考えてやるんだが。お前には漫才師は無理だ」
「その言葉、忘れるなよ。僕は絶対に漫才師になってやる!!」
それから、僕は勉強に打ち込んだ。大きなボケをするには、知識が必要だ。大学にも合格した。有名大学の薬学部だ。そこでも僕は一生懸命勉強した。そして、卒業して試験にも合格した。
僕は、タカシを呼び出した。そして、胸を張って言った。
「ほら見てみろ。約束通り、漫才師になったぞ!」
「…………」
その言葉にタカシは何も答えることができなかった。僕は本気で怒った。
「馬鹿野郎! 『それは漫才師じゃなくて、薬剤師だ!』ってつっこむところだろう! 僕の一世一代のボケを無駄にしやがって!」
あとがき
「そうそう、水族館で芸をしたり、アゥ、アゥって鳴いたり」
「それは『あしか』だろう!」
「どうもありがとうございました」
俺とタカシは、学校でよく漫才をしている。僕がボケでタカシがツッコミだ。
そのタカシが、コンビを解消しようと言い出した。
「何故なんだ? 一緒に漫才師になろうって言っただろう?」
「お前のボケは軽すぎるんだよ。俺がツッコミで何とかカバーしているが、これじゃあ素人のレベルから抜け出せない」
「これから頑張ればいいじゃないか。もう少しレベルの高いボケができるようになるから」
「無理だよ。お前は軽すぎるんだ。まあ、一回体を張るくらいの気持ちで大きなボケをかませば考えてやるんだが。お前には漫才師は無理だ」
「その言葉、忘れるなよ。僕は絶対に漫才師になってやる!!」
それから、僕は勉強に打ち込んだ。大きなボケをするには、知識が必要だ。大学にも合格した。有名大学の薬学部だ。そこでも僕は一生懸命勉強した。そして、卒業して試験にも合格した。
僕は、タカシを呼び出した。そして、胸を張って言った。
「ほら見てみろ。約束通り、漫才師になったぞ!」
「…………」
その言葉にタカシは何も答えることができなかった。僕は本気で怒った。
「馬鹿野郎! 『それは漫才師じゃなくて、薬剤師だ!』ってつっこむところだろう! 僕の一世一代のボケを無駄にしやがって!」
あとがき
2008年03月11日
潜伏期間
それは、いきなりの出来事だった。宇宙人から通信があったのだ。
「地球の皆さん、すみません。地球を探査するときに、間違って凶悪なウィルスを漏らしてしまいました。感染力が非常に強いウィルスで、すでに地球人全員に感染してしまいました」
「しかし、地球上でそのような病気の報告はまだありません」
「それが、このウィルスが凶悪な原因でもあります。発症までの潜伏期間が長いのです。そのため、知らない間に多くの人間に感染してしまうという特徴があります。そして、潜伏期間を過ぎて発症すると、間違いなく死んでしまうのです。このような事態にしてしまって本当に申し訳ありません。現在、治療法はないのですが、急いで治療法を確立します」
地球は大パニックになった。
宇宙からもたらされた凶悪なウィルス。地球全滅の危機だ。
しかし、結局何も起こらないまま時間が過ぎていった。
二十年後、忘れかけた頃にまた宇宙人から通信が入った。
「すみません。全精力を傾けて治療法を探していますがまだ見つかりません。もうしばらく待って下さい」
どうやら、二十年はまだ潜伏期間だったようだ。いつ発症するかわからない。また、地球は大パニックになった。
しかし、結局何も起こらないまま時間が過ぎていった。
百年後、また宇宙人から通信が入った。
「すみません。まだ治療法が確立できていません。でも大至急治療法をみつけます」
地球の代表が答えた。
「ウィルスとは言いますが、我々地球人には何の被害も出ていません。あなた方の通信のたびに我々はパニックに陥りました。もう、こんなイタズラは止めて下さい」
「イタズラではありません。ウィルスは本当に広がっているのです。我々は急いで治療法を見つけるよう本当に努力しているのです。でも、こんな短期間では、まだ……」
短期間? 百年が短期間だと? 地球の代表は一瞬怒りかけたのだが、あることに気づいた。もしかしたら……
「あのー、このウィルスの潜伏期間とは一体どのくらいなのですか?」
「地球時間で言うと……三千年くらいです」
あとがき
「地球の皆さん、すみません。地球を探査するときに、間違って凶悪なウィルスを漏らしてしまいました。感染力が非常に強いウィルスで、すでに地球人全員に感染してしまいました」
「しかし、地球上でそのような病気の報告はまだありません」
「それが、このウィルスが凶悪な原因でもあります。発症までの潜伏期間が長いのです。そのため、知らない間に多くの人間に感染してしまうという特徴があります。そして、潜伏期間を過ぎて発症すると、間違いなく死んでしまうのです。このような事態にしてしまって本当に申し訳ありません。現在、治療法はないのですが、急いで治療法を確立します」
地球は大パニックになった。
宇宙からもたらされた凶悪なウィルス。地球全滅の危機だ。
しかし、結局何も起こらないまま時間が過ぎていった。
二十年後、忘れかけた頃にまた宇宙人から通信が入った。
「すみません。全精力を傾けて治療法を探していますがまだ見つかりません。もうしばらく待って下さい」
どうやら、二十年はまだ潜伏期間だったようだ。いつ発症するかわからない。また、地球は大パニックになった。
しかし、結局何も起こらないまま時間が過ぎていった。
百年後、また宇宙人から通信が入った。
「すみません。まだ治療法が確立できていません。でも大至急治療法をみつけます」
地球の代表が答えた。
「ウィルスとは言いますが、我々地球人には何の被害も出ていません。あなた方の通信のたびに我々はパニックに陥りました。もう、こんなイタズラは止めて下さい」
「イタズラではありません。ウィルスは本当に広がっているのです。我々は急いで治療法を見つけるよう本当に努力しているのです。でも、こんな短期間では、まだ……」
短期間? 百年が短期間だと? 地球の代表は一瞬怒りかけたのだが、あることに気づいた。もしかしたら……
「あのー、このウィルスの潜伏期間とは一体どのくらいなのですか?」
「地球時間で言うと……三千年くらいです」
あとがき
2008年03月06日
片道タイムマシン
「よし、片道タイムマシンの完成だ!」
「博士、凄いですね。タイムマシンを発明するなんて。これで過去にも未来にも自由に行けるんですね」
「何言ってるんだ? 過去に行けるわけがないじゃないか。過去に行って自分の母親を殺したらどうなる? ちょっと考えればわかるだろう? そんなパラドックスが起こらないように宇宙はできているんだ」
「じゃあ、このタイムマシンは?」
「過去には行けない。未来だけだ。だから片道タイムマシンと呼んでいるんだ。相対性理論からも明らかなように、未来に行くことは可能なんだ。何のパラドックスも起きない。この装置は一瞬にして、設定した未来に行けるというものだ」
「じゃあ、その装置で未来に行っても、戻ってくることはできないんですね。それじゃあ意味ないじゃないですか。未来でどんな株が上がるか、競馬でどの馬が勝つか、それを見ても戻ってこれないんじゃ……」
「全く、君って人間は、どうしてそんなに下衆なことしか考えられないんだ。純粋に未来を見てみたいという知的好奇心が沸かないのか?」
「未来は見てみたいですが、戻ってこれないんですよ」
「いいじゃないか。君は今の時代に何か未練があるのか? 私はこの時代には未練はない。戻って来ることができなくても未来をみたい。君も一緒にみてみないか」
「うーん、まあ僕も今にあまり未練はないし……。わかりました、お付き合いしますよ。一緒に未来に行きましょう」
「では、早速旅立とう。まずは五年後の世界だ」
博士と助手のふたりはタイムマシンに乗り込み、ダイヤルを五年後にセットして、スタートボタンを押した。
「もう着いたぞ。五年後の世界だ。ちょっと外の様子をみてみよう」
本当にあっという間だった。ふたりはタイムマシンを降りて、町にでた。
「博士。あまり変わってないですね」
「まあ、五年だからな。それほど大きな変化はないようだな」
そのとき、ひとりの男が博士に声をかけた。
「もしかしたら、片道タイムマシンを発明された博士じゃないですか?」
「そうだが……何か?」
「やっぱりそうだったんですね。あの素晴らしい理論と設計図、今では博士を知らない人などいませんよ。片道タイムマシンも量産され始めて、すでに未来に旅立った人もいるくらいです」
「そうか。私も有名人になったのか」
自分が有名になり、博士はご満悦のようだ。
「さあ、もっと未来に行ってみよう! 次はこの十年後だ」
博士と助手は、もう一度タイムマシンに乗り込み、スタートボタンを押した。そして、十年後の様子を見ようと町に出た。
「博士、何だか人が少ないですね」
「そうだな、妙に人が少ない。何があったんだろう?」
博士は、通りかかった男に聞いた。
「何故、こんなに人が少ないのですか?」
「片道タイムマシンってやつが出回って、沢山の人間が未来にいったからな。この時代に残っている人間は少ないんだ」
「そうですか」
自分の発明が多くの人に利用されたことを知り、博士はご満悦のようだ。
「さあ、もっと未来に行ってみよう! また十年後だ」
博士と助手は、もう一度タイムマシンに乗り込み、スタートボタンを押した。そして、十年後の様子を見ようと町に出た。
「ぜんぜん人がいませんね」
「そうだな」
ふたりは長い間歩き回って、やっとひとりの男を見つけた。
「どうして、人がいないんですか?」
「ああ、みんな未来に行ってしまって、この時代に残っているのは俺みたいな変わり者だけさ」
ますます、自分の発明が利用されていったことを知って、博士はご満悦だった。
「さあ、もっと未来に行ってみよう! また十年後だ」
博士と助手は、もう一度タイムマシンに乗り込み、スタートボタンを押した。そして、十年後の様子を見ようと町に出た。
「人はいませんね。それに町も荒廃している」
「そうだな、完全にゴーストタウンだ」
ふたりはかなり探し回ったが、この時代で人を見つけることはできなかった。
全人類が自分の発明品を使ったことを知り、博士はご満悦だった。
「さあ、もっと未来に行ってみよう! また十年後だ」
博士と助手は、もう一度タイムマシンに乗り込み、スタートボタンを押した。そして、十年後の様子を見ようと町に出た。
「完全に荒れ放題ですね。もはや人が住むことすらできない」
「探すまでもないな。この時代にも人はいない」
「さあ、もっと未来に行ってみよう! また十年後だ」
博士と助手はそれからも、未来への旅行を繰り返した。しかし、どの時代にも人は見当たらず、町は荒れていく一方だった。
「博士、どうします? まだ未来に行きますか?」
「当たり前だろ。この時代にいても、建物は崩壊しているし食べ物もない。他に人がいない。生きていくことすらできない。どんどん未来に行って、人のいる時代にたどり着かないと」
それからも、ふたりは何度も未来に進んだ。しかし、全く人はいない。
「一体、みんなどの未来にいるのだろう? 片道タイムマシンを使った人ばかりの時代に行けば、私は大歓迎されるはずなのに。いつになったらその時代にたどり着けるのだろうか? とにかくもっと未来に行ってみよう」
助手の男がふと思った。
(片道タイムマシンを使った世界中の人たちも、僕たちと同じなのかもしれない。人がいる時代を探してずっと未来に進み続けているのかも。全員がそうしているとしたら……)
でも助手は何も言わなかった。未来で人々の賞賛を受けることで頭が一杯の博士を落胆させたくなかったのだ。それに、このまま人のいない時代にいても死がが待っているだけだ。駄目でも未来に行くしか選択肢はない。
「さあ、もっと未来に行ってみよう! また十年後だ」
博士が意気揚々と言った。
あとがき
「博士、凄いですね。タイムマシンを発明するなんて。これで過去にも未来にも自由に行けるんですね」
「何言ってるんだ? 過去に行けるわけがないじゃないか。過去に行って自分の母親を殺したらどうなる? ちょっと考えればわかるだろう? そんなパラドックスが起こらないように宇宙はできているんだ」
「じゃあ、このタイムマシンは?」
「過去には行けない。未来だけだ。だから片道タイムマシンと呼んでいるんだ。相対性理論からも明らかなように、未来に行くことは可能なんだ。何のパラドックスも起きない。この装置は一瞬にして、設定した未来に行けるというものだ」
「じゃあ、その装置で未来に行っても、戻ってくることはできないんですね。それじゃあ意味ないじゃないですか。未来でどんな株が上がるか、競馬でどの馬が勝つか、それを見ても戻ってこれないんじゃ……」
「全く、君って人間は、どうしてそんなに下衆なことしか考えられないんだ。純粋に未来を見てみたいという知的好奇心が沸かないのか?」
「未来は見てみたいですが、戻ってこれないんですよ」
「いいじゃないか。君は今の時代に何か未練があるのか? 私はこの時代には未練はない。戻って来ることができなくても未来をみたい。君も一緒にみてみないか」
「うーん、まあ僕も今にあまり未練はないし……。わかりました、お付き合いしますよ。一緒に未来に行きましょう」
「では、早速旅立とう。まずは五年後の世界だ」
博士と助手のふたりはタイムマシンに乗り込み、ダイヤルを五年後にセットして、スタートボタンを押した。
「もう着いたぞ。五年後の世界だ。ちょっと外の様子をみてみよう」
本当にあっという間だった。ふたりはタイムマシンを降りて、町にでた。
「博士。あまり変わってないですね」
「まあ、五年だからな。それほど大きな変化はないようだな」
そのとき、ひとりの男が博士に声をかけた。
「もしかしたら、片道タイムマシンを発明された博士じゃないですか?」
「そうだが……何か?」
「やっぱりそうだったんですね。あの素晴らしい理論と設計図、今では博士を知らない人などいませんよ。片道タイムマシンも量産され始めて、すでに未来に旅立った人もいるくらいです」
「そうか。私も有名人になったのか」
自分が有名になり、博士はご満悦のようだ。
「さあ、もっと未来に行ってみよう! 次はこの十年後だ」
博士と助手は、もう一度タイムマシンに乗り込み、スタートボタンを押した。そして、十年後の様子を見ようと町に出た。
「博士、何だか人が少ないですね」
「そうだな、妙に人が少ない。何があったんだろう?」
博士は、通りかかった男に聞いた。
「何故、こんなに人が少ないのですか?」
「片道タイムマシンってやつが出回って、沢山の人間が未来にいったからな。この時代に残っている人間は少ないんだ」
「そうですか」
自分の発明が多くの人に利用されたことを知り、博士はご満悦のようだ。
「さあ、もっと未来に行ってみよう! また十年後だ」
博士と助手は、もう一度タイムマシンに乗り込み、スタートボタンを押した。そして、十年後の様子を見ようと町に出た。
「ぜんぜん人がいませんね」
「そうだな」
ふたりは長い間歩き回って、やっとひとりの男を見つけた。
「どうして、人がいないんですか?」
「ああ、みんな未来に行ってしまって、この時代に残っているのは俺みたいな変わり者だけさ」
ますます、自分の発明が利用されていったことを知って、博士はご満悦だった。
「さあ、もっと未来に行ってみよう! また十年後だ」
博士と助手は、もう一度タイムマシンに乗り込み、スタートボタンを押した。そして、十年後の様子を見ようと町に出た。
「人はいませんね。それに町も荒廃している」
「そうだな、完全にゴーストタウンだ」
ふたりはかなり探し回ったが、この時代で人を見つけることはできなかった。
全人類が自分の発明品を使ったことを知り、博士はご満悦だった。
「さあ、もっと未来に行ってみよう! また十年後だ」
博士と助手は、もう一度タイムマシンに乗り込み、スタートボタンを押した。そして、十年後の様子を見ようと町に出た。
「完全に荒れ放題ですね。もはや人が住むことすらできない」
「探すまでもないな。この時代にも人はいない」
「さあ、もっと未来に行ってみよう! また十年後だ」
博士と助手はそれからも、未来への旅行を繰り返した。しかし、どの時代にも人は見当たらず、町は荒れていく一方だった。
「博士、どうします? まだ未来に行きますか?」
「当たり前だろ。この時代にいても、建物は崩壊しているし食べ物もない。他に人がいない。生きていくことすらできない。どんどん未来に行って、人のいる時代にたどり着かないと」
それからも、ふたりは何度も未来に進んだ。しかし、全く人はいない。
「一体、みんなどの未来にいるのだろう? 片道タイムマシンを使った人ばかりの時代に行けば、私は大歓迎されるはずなのに。いつになったらその時代にたどり着けるのだろうか? とにかくもっと未来に行ってみよう」
助手の男がふと思った。
(片道タイムマシンを使った世界中の人たちも、僕たちと同じなのかもしれない。人がいる時代を探してずっと未来に進み続けているのかも。全員がそうしているとしたら……)
でも助手は何も言わなかった。未来で人々の賞賛を受けることで頭が一杯の博士を落胆させたくなかったのだ。それに、このまま人のいない時代にいても死がが待っているだけだ。駄目でも未来に行くしか選択肢はない。
「さあ、もっと未来に行ってみよう! また十年後だ」
博士が意気揚々と言った。
あとがき
2008年03月01日
ガラスの靴
「お嬢さん、私と踊って頂けますか?」
「ええ、よろこんで」
こんな舞踏会に来られたのも、みんな魔法使いのお婆さんのおかげ。でも魔法は十二時には解けてしまう。それまでに帰らなくてはいけない。
そう思って、時計を見ると十二時直前。
「すいません、もう帰らなければならないのです」
そう言って男性の手をふりほどき、出口に向かって走り出す。階段にさしかかったとき、十二時の鐘が鳴った。
靴が片方脱げてしまった。でもそんなこと関係ない。私なんかがこんな舞踏会に来ていたことが知られたら大変なことになる。そう思って必死に走り、何とかカボチャの馬車に乗って、帰ることができた。
自分の部屋で、舞踏会を思い出す。
『ああいう舞踏会に一度出てみたかったの。安物で着心地の悪いドレス、狭くて乗り心地の悪い馬車。あれはあれで中々楽しいもの。庶民の舞踏会というやつも、たまにはいいものだわ。また、魔法使いに金を積んで、忍び込んでみよう』
その時、侍女の声が聞こえた。
「お姫様、一体どこに行ってらっしゃったのですか?」
あとがき
「ええ、よろこんで」
こんな舞踏会に来られたのも、みんな魔法使いのお婆さんのおかげ。でも魔法は十二時には解けてしまう。それまでに帰らなくてはいけない。
そう思って、時計を見ると十二時直前。
「すいません、もう帰らなければならないのです」
そう言って男性の手をふりほどき、出口に向かって走り出す。階段にさしかかったとき、十二時の鐘が鳴った。
靴が片方脱げてしまった。でもそんなこと関係ない。私なんかがこんな舞踏会に来ていたことが知られたら大変なことになる。そう思って必死に走り、何とかカボチャの馬車に乗って、帰ることができた。
自分の部屋で、舞踏会を思い出す。
『ああいう舞踏会に一度出てみたかったの。安物で着心地の悪いドレス、狭くて乗り心地の悪い馬車。あれはあれで中々楽しいもの。庶民の舞踏会というやつも、たまにはいいものだわ。また、魔法使いに金を積んで、忍び込んでみよう』
その時、侍女の声が聞こえた。
「お姫様、一体どこに行ってらっしゃったのですか?」
あとがき

