「ただいま」
「あ、あなた、お帰りなさい。思ったより早かったわね」
「せっかくの飲みなのに、なんだか面白くなくて抜けてきた」
「珍しいわね。あなたでもそんなことがあるのね」
「まあな。それより何か食い物ないか? 少しお腹が空いて」
「ごめんなさい。今日は何も残ってないの」
「そうか、残念だな。帰れば何か食べれると思ったのに……」
「え! 今あなた『食べれる』って言わなかった?」
「ああ、言ったよ」
「あなた、いつも言っているじゃないの。ら抜き言葉なんて日本語じゃないって。そのあなたが『食べられる』じゃなくて『食べれる』って言うなんて」
「考えを変えたんだよ。言葉なんて時代によって変わるのが当たり前だってね。最近はかなり許容されてきているみたいだし、そのうちこの表現が普通になるのかもしれないと思って。逆に時代を先取りしているような気分で、敢えて使っているんだよ。でも、いざ使おうと思うと難しいもんだね」
「そうかしら。そんなに難しいとは思わないけど」
「いやー、凄く難しい」
「あなたにとっては、そうかもしれないわね」
「それより、本当にはがへったな。そうだ、確かここ辺にカステがあった筈だ。くくて見えないな。イトを点けてっと。あれ? お前しないか?」
あとがき
まえぞうのショートショートへようこそ。全部読み切りで、短い時間で読める小説です。ラジオドラマにも採用されています。少しの間、楽しんでいって下さい。
ブログコミュニティ「edita(エディタ)」に参加しました。ショートショート倶楽部というコミュニティーを作っています。ショートショート好きのブロガーさん、是非参加して下さい。ブログでショートショートを公開している方は、エディター登録して頂ければ嬉しいです。
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2007年10月26日
2007年10月20日
ドッペルゲンガー
―――――――――――――――――――――
[ドッペルゲンガー]
自分とそっくりな人間。ドッペルゲンガーを見た者は、数日のうちに死ぬと言われている。
―――――――――――――――――――――
「くそー、何でこんな事になったんだ! せっかく面白い番組が撮影できたのに、放送ができなくなってしまった」
彼は、有名なテレビ番組のプロデューサー。彼が作った番組の出演者が次々に亡くなるという信じられない不幸に見舞われたのだ。楽しい番組にこんな悲劇が起こったのだ。放送などできる筈もない。彼は決意した。
「このままでは終わらない! 絶対に次回作を作ってやる!『そっくりさん大集合パート2』を」
あとがき
[ドッペルゲンガー]
自分とそっくりな人間。ドッペルゲンガーを見た者は、数日のうちに死ぬと言われている。
―――――――――――――――――――――
「くそー、何でこんな事になったんだ! せっかく面白い番組が撮影できたのに、放送ができなくなってしまった」
彼は、有名なテレビ番組のプロデューサー。彼が作った番組の出演者が次々に亡くなるという信じられない不幸に見舞われたのだ。楽しい番組にこんな悲劇が起こったのだ。放送などできる筈もない。彼は決意した。
「このままでは終わらない! 絶対に次回作を作ってやる!『そっくりさん大集合パート2』を」
あとがき
2007年10月14日
2007年10月03日
禁煙国家
「我が国の喫煙率は、5%程度で横ばい状態を続けております」
「まだ、5%もいるのか。喫煙率を1%以下に抑えて、禁煙国家宣言をするにはまだ時間がかかりそうだな」
「はい、残りの5%がとにかくしつこいのです。どんな手を打ってもタバコを吸うことを止めません。いっそのこと法律で禁止してはどうでしょうか?」
「それは駄目だ。法で規制するのではなく、国民が自分の意思でタバコを止める、それが禁煙国家の理想的な姿なのだ」
「では、禁煙をした国民に何か褒美を与えることにしてはどうでしょうか?」
「高額な税金を課し、喫煙可能箇所を激減し、タバコを吸う人間が白い眼で見られるように世論を操作した。5%の人間は、それでも喫煙を止めない頑固者だ。褒美くらいで、止めるわけがない」
「しかし、他に方法が……。禁煙したら一生遊んで暮らせるほどの褒美を与えれば止めるのでしょうが、そんな訳にはいかないし」
「一生遊んで暮らせるほどの褒美――それだ! その手で行こう」
「しかし、そんなことをしたら非喫煙者から凄い非難を浴びることになります」
「確かにそうだろう。しかし、我が国は禁煙国家になることを、国際的に約束しているのだ。その期限はせまっている。何とかしないと国際的な信用を失うことになる。その方が大問題だ。禁煙したものに、一生遊んで暮らせるだけの賞金を出す、これしか方法がない」
そして、禁煙者賞金法が施行された。
〔ある家庭での会話〕
「あなた、何してるの! あなたも早くタバコを吸い始めなさいよ!」
タバコを片手にした奥さんが叫ぶ。
「タバコ? 何でタバコなんか吸わなければならないんだ?」
「当たり前でしょ! タバコを吸い始めなければ禁煙できないじゃないの! ご近所もみんな吸い始めてるわよ!」
こうして日本は国際的な信用を失った。
あとがき
「まだ、5%もいるのか。喫煙率を1%以下に抑えて、禁煙国家宣言をするにはまだ時間がかかりそうだな」
「はい、残りの5%がとにかくしつこいのです。どんな手を打ってもタバコを吸うことを止めません。いっそのこと法律で禁止してはどうでしょうか?」
「それは駄目だ。法で規制するのではなく、国民が自分の意思でタバコを止める、それが禁煙国家の理想的な姿なのだ」
「では、禁煙をした国民に何か褒美を与えることにしてはどうでしょうか?」
「高額な税金を課し、喫煙可能箇所を激減し、タバコを吸う人間が白い眼で見られるように世論を操作した。5%の人間は、それでも喫煙を止めない頑固者だ。褒美くらいで、止めるわけがない」
「しかし、他に方法が……。禁煙したら一生遊んで暮らせるほどの褒美を与えれば止めるのでしょうが、そんな訳にはいかないし」
「一生遊んで暮らせるほどの褒美――それだ! その手で行こう」
「しかし、そんなことをしたら非喫煙者から凄い非難を浴びることになります」
「確かにそうだろう。しかし、我が国は禁煙国家になることを、国際的に約束しているのだ。その期限はせまっている。何とかしないと国際的な信用を失うことになる。その方が大問題だ。禁煙したものに、一生遊んで暮らせるだけの賞金を出す、これしか方法がない」
そして、禁煙者賞金法が施行された。
〔ある家庭での会話〕
「あなた、何してるの! あなたも早くタバコを吸い始めなさいよ!」
タバコを片手にした奥さんが叫ぶ。
「タバコ? 何でタバコなんか吸わなければならないんだ?」
「当たり前でしょ! タバコを吸い始めなければ禁煙できないじゃないの! ご近所もみんな吸い始めてるわよ!」
こうして日本は国際的な信用を失った。
あとがき

