天使の一団が地球を離れようとしていた。
「この星の人間たちは、本当に酷かったな」
「ああ、神の意思を完全に無視して、やりたい放題だ」
「何とか、この愚かな人間たちを導いてやろうとしたけど、無理だった」
「今まで、色んな知的生命体をみてきたが、ここまで残酷な奴らはいなかった」
「新しく知的人類が誕生したという星に早く移ろう」
「そうだ! こんな星放っておいて、新しい人類を導こう」
天使の中のひとりだけが、浮かない顔をしていた。まわりの天使に理由を聞かれ、戸惑いながらポツリと言った。
「そんなに酷い人間かな? 僕にはそんなに残酷には思えないんだけど……」
「何言ってるんだ。他の生物を次々殺し、同じ人間同士でも殺しあう。そんな奴らだぞ」
「でも……それは仕方なくやっただけで、本質はいい人たちだと思うんだけど」
「じゃあ、君だけここに残るか?」
「どうしよう……。そうだ、僕はもう一度この星の人間を観察してくる。そして、思ったよりいい人たちなら、ここに残る。本当に残酷な人たちならみんなと一緒に次の星に行く」
「お前、本当に物好きだな」
「じゃあ、僕はもう一度地球を見てくるから、みんなは先に行ってて」
「わかったよ。早くしろよ」
『次のニュースです。先日捕獲された人間に似た羽の生えた動物ですが、解剖の結果、地球上の他の生命体とは構造が大きく異なっていることが判明しました。専門家の間では、早くも白熱した議論が……』
あとがき
まえぞうのショートショートへようこそ。全部読み切りで、短い時間で読める小説です。ラジオドラマにも採用されています。少しの間、楽しんでいって下さい。
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